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親と子が一緒に住むのには、様々に問題があっても、二世帯住宅で、お互いの“プライバシー”を保てばうまく行くという発想は、今や普通のものになりました。考えてみれば、二世帯住宅は同居できない二世帯家族の“妥協策”に過ぎないのですが、現実的には“意味”を持ちます。
そこで、生命保険でも、同じように“二世帯保険”を考えられないでしょうか。特に、お金はあっても被保険者になる意味がない高齢者と、生命保険は必要でも資金的な余裕がない壮年層の間での“二世帯保険”なら、“妥協の産物”だとしても、非常に“意味”のある活用法も可能なのです。 |
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【01】 なぜ親子は別居するか 〜 その社会的な要因とは? |
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三世代が同居する“大家族”が否定され、いわゆる“核家族”化が当たり前になっています。それどころか、まだ未成年や就業前の子供でも、早々に親から“独立”して一人暮らしを始めるケースも増えています。私たちは、なぜこうも“孤独”を好むようになったのでしょうか。
もちろん“孤独”を好んでいるわけではないと思います。事の発端は、特に戦争が終わった後の“都市への人口集中”だったはずです。若者は地方から都市部へ移住します。その際、親(今の高齢者)世代は、従来の暮らしを地方で守ります。“親子間別居”の始まりです。
それは、親世代が地方の暮らしを捨てられなかったからではありません。労働力を必要とした都市部が、狭い寮を提供しながら、大量の若者を呼び集めたからだと考えるべきでしょう。寮では、親子の同居は不可能です。 |
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【02】 バラバラになるばかりの親子三世代 |
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ところが、寮生活の若者が家庭を持つようになっても、都市部では普通、広い住宅に住めません。親を呼び寄せて“一緒”に住むには、都市の住宅は狭すぎるのです。その結果、夫婦が働く間、おじいちゃんとおばあちゃんが“孫の面倒を見る”という合理的な三世代協調生活の基盤が崩れ、親は子を“ほったらかさざるを得ない”状況に追い込まれるのです。
そして、親に“放置”された子は、親に親しめません。一方、母親が専業主婦のケースでも、おじいちゃんやおばあちゃんの世話が不要な分、子に対して過保護になりやすく、やはり子は親に親しめません。その結果、親子三代は“バラバラ”になってしまうのです。今さら“同居”など、考えたくもないケースが、少ないとは言えないでしょう。 |
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【03】 三世代が協力する“豊かさ”を思い出そう! |
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しかし“一緒に住む”のは、案外合理的です。広い家に住めますし、家具や調度品も豪華なものが買えます。大家族が当たり前だった江戸時代には、家の中に“文化の香り”がする高級品がたくさんあったことでしょう。何代にもわたって、継承・共有ができるからです。
既に申しました通り、子育てを祖父母に任せられるとしたら、公的機関の保育の“順番待ち”を気にするどころか、仕事からの“帰り”の時間も、それほど気にしないで済むかも知れません。出張もできます。たとえ、そうでなくとも、家事労働者の“頭数”が多い分、役割分担も可能でしょう。
ただ、一旦慣れ親しんだ“プライバシー”は手放したくない…、そんなところに“二世帯住宅”が顔を出します。お互いがお互いの家に“鍵を掛け”ながら、同一の敷地内で“協同”で暮らしましょうと、まさに“いいところ取り”の提案をするわけです。
逆に、孤独な生活は、危険や不便が伴うばかりではなく、案外“費用”がかかります。子供が独立する時に買う“家具や家電”だけを見ても、その“コスティー(費用高)”ぶりは分かるはずです。 その上、孤独死や“詐欺”のターゲットになる危険があるとするなら…。 |
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【04】 二世帯住宅より簡単な二世帯(生命)保険 |
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それでも、生活地域が遠く離れた親子なら、二世帯住宅でも“協同”に向かうのは容易ではありません。家ばかりではなく、近隣の交友関係まで考えると、何が合理的か分からなくなることさえあります。 しかし生命保険なら、もっと容易に、もっと合理的に“協同関係”を形成できるのです。
仮に、あまり仲が良いとは言えない親子がいたとしましょう。たぶん、高齢の親は、それなりに金融資産を持ち、子は働き盛りながら、“収入の伸び悩み”に苦しんでいるのではないでしょうか。もちろん個人差はありますが、今、若年・壮年世代の収入は、決して良好とは言えません。
概して言うなら、『以前なら、お父さん一人が稼いでいた収入を、今や夫婦共働きで獲得しなければならない』と言うべき状況かも知れません。子供どころではないのです。そこで、最低限、あるいは“入口”的な協力として、高齢の親世帯から若年・壮年の子世帯へ、生命保険料の援助を申し出ます。もちろん、最低限、あるいは初歩的な“申し出”ではありますが、これが意外に“発展”可能なのです。
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【05】 二世帯(生命)保険とは? |
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保険契約者は、高齢で余裕のある親で、被保険者は若年・壮年の子です。死亡保険金の受取人は、高齢者の親で良いでしょう。子に“万が一”があれば、親が死亡保険金を受け取って、子の配偶者や孫の面倒を見ます。残された配偶者に必要なのは、お金より“自分が働けるための協力者”なのですから、この保険金受取は、ちっとも不合理ではありません。
更に、保険料積立型の生命保険にしておけば、高齢の親にも、先々解約して返戻金を得るという“将来”が見えて来ます。子も寄り付かない家を売るのではなく、晩年に“特別養護老人ホーム”に入る資金を、保険で作るわけです。
しかも、高齢者が支払う保険料は、若年・壮年者と違い、“生活のかかったカネ”ではないことが多いでしょう。生命保険も“変額”にする楽しみが出ます。変額保険にはリスクがあると言われますが、他の投資に比べて、リスクが大きいわけでは、決してありません。 |
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【06】 高齢者諸氏よ、再び“リーダー”たれ! |
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高齢の親世代は、家や土地、家具や調度を子世代に残し、自分の“終盤”は、高齢後の余剰資金で作ります。途中で子が死んだ場合は、死亡保険金を受け取って、人生の先輩として“リーダーシップ”をとりながら、三代を束ねて行きます。
以前のように、地方と都市に離れた親子ではなく、両方とも都市に暮らすケースが増えた昨今、この死亡保険金は、新たな“協同生活設計”の基盤になり得るかも知れません。両者が地方に暮らす場合も同様です。
その上、高齢者は“被保険者”こそ子にしますが、死亡保険金も解約返戻金も“自分”に入って来るのですから、多少仲が悪くても、“損”をする気分にはなりにくいでしょう。子は、自分の死を待たれるようで不愉快でも、両親が“人生の終盤”に備えていることが分かると、気持ちが変わるでしょう。
ささやかな一歩かも知れませんが、世代間協力の重要な一歩が、そこにあると言えないでしょうか。少なくとも、お互いに打ち合わせを行うという形で“将来を共有する”のです。その“将来の共有”こそ、家族の絆の“本質”に近いものではないでしょうか。 |
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【07】 すでに仲の良い親子なら… |
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すでに仲の良い親子なら、なおさらです。子育てや家事を“分担”するように、余裕がある親が保険料を負担し、保障の必要な子が被保険者になるのに、はたして“抵抗”すべきでしょうか。契約者たる親が死んでも、子は“保険の権利”を相続できます。
個人の生命保険では、被保険者が契約者になるのが当たり前、保険料負担の限界から、定期保険が当たり前、高齢者には生命保険の話をすることさえムダなのが当たり前、等々と考えてしまい、二世帯住宅よりももっと“合理的”で“経済的”な、“二世帯保険”という親子協同の可能性を見失っていないでしょうか。
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【08】 生命保険の市場創造は多少の“変革”では難しい! |
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もっと若年層に有利になるよう、保険料体系を変更するのも良策でしょうが、多少金額を変えたくらいでは、市場を創造することはできないと考えるべきでしょう。ビジネスは、あるいは商売は、必要な人に必要なものを提供しながら、支払える人に支払ってもらうことを“考える”から、継続して行くのだと思います。
“二世帯保険”については、新日本保険新聞(生保版)等の全面論説記事で、しばしばお勧めしてまいりましたが、まだまだ“現実感”を獲得していません。しかし、大きく日本経済の再生を考えても、単に“デフレ”からの脱却に留まらず、協同できる人たちが協同で暮らすことで、“購買力を向上させる”ことが、何より大事になるはずです。
子育てにも、企業内の育児休暇のトラブルにも解決の火をともす“世帯間協同生活”の、せめてものスタートとして、政府も後押ししてくれないでしょうか。
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【09】 保険会社ばかりではなく“保険営業”にも不可欠な“窮地”からの脱出策 |
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冗談はさておき、生命保険市場は、以上のような“発想の転換”がない限り、かつての“構造不況業種”のようになりそうです。保険会社はもちろん、かつての構造不況業種のように、海外進出に活路を見出すでしょうが、国内で営業を続ける営業者の皆様には、思い切った“タブー脱却”が必要になっているのかも知れません。
そんな観点から、以上のような“二世帯保険”ばかりではなく、独身者や後継者のいない経営者にまで“生命保険を売る”視点を、あれこれと組み立てているわけです。まずは“耕す”のでないと、何も育てることはできないからです。
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