保険営業者のためのマーケティング&コンサルティング、ヒント集
 
 
 
 
 
 
 
 
 

保険営業者のための小さなヒント集

株式会社エフ・ビー・サイブ研究所
             
【Vol.021】新活動指針:探すべきは、もはや顧客のニード/ニーズではない!(3)
             

  『営業トークと志トークは、どう違うのでしょうか。更には、営業トークではない“志”は、どのように“接点形成”に効果を発揮するのでしょうか』という疑問で、前回が終わりました。今回は“志トーク”の特徴と、その効果を考えるとともに、今後の“志トーク”作成のための効果的な方法についても、ご一緒に考えてみましょう。

             
   
    【01】 “志トーク”?
   
        “志トーク”とは、たとえば前回の例のように『私は自動車保険ばかりではなく、ガン保険も取り扱っていますよ』という“こと”を一方的に伝えるメッセージです。伝える先方がどう思おうが、どうしようが、“伝える”だけで“任務が終了する”ものです。
  だから、誰にでも伝えられます。ただ前回の例では“ガン保険を販売していない既契約者”に限りました。まだ見ぬ人に“ガン保険の取り扱い”を伝えても、メッセージにはならないからです。つまり、このメッセージは、前回申し上げた意味で“浅い”のです。ここで“浅い”というのは、特定の層にしか伝えられない、という意味ですが、ただ、その“浅さ”ゆえに、大きく顧客の買う動機を揺さぶることも可能になります。
       
   
    【02】 営業トークと志トーク
   
        つまり『保険の新商品が出ましたのでご紹介したい』は営業トークですが、『私は、新商品が出るたびに、皆様にその詳細をご説明しています』と言えば志トークになるというのが“両者”の違いです。
  営業トークは、あくまで買い手を“動機づける”のが目的ですから、どんな言葉を使おうと、購入を勧めるストーリーを展開します。しかし、“志トーク”は“伝える”ことが目的になりますから、伝えたら終わるのです。
  それは、顧客サイドに立てば『私はあなたの話を聞くだけで、喜んでもらえるのですね』という印象になり、聞くストレス、面談のストレスが小さくなります。その“アンチ・ストレス関係”“接点が生まれた”ということなのです。
       
   
    【03】 一見微妙だが非常に大きな差
   
        こう申し上げれば、“志トーク”は“営業トーク”を少しアレンジしただけだと思えるかも知れません。しかし、両者の使い分けは、想像以上に難しいものです。
  私たちはどうしても、成果が上がるかどうかという“打算”の中で生きています。つまり、たとえば“志トーク”に取り組んで、はたして保険が売れるのだろうかという“成果主義”“打算主義”から、物事を考える傾向があるのです。
  考えたことは、直ちに言葉や言葉のニュアンスに出ます。私たちは“頭で考えている”と思われていますが、考えているのは“腹(本音)”であり、“頭(理性)”は、それをコントロールしているに過ぎません。しかも“腹(本音)”は“頭(理性)”よりも数倍速く活動します。
  いかに、頭(理性)で“志トーク”をしているつもりでも、腹(本音)が成果主義なら、顧客のプレッシャーは軽減できません。
       
   
    【04】 他者に教えられるほど意識してみることが大事
   
        もちろん、買おうと思いながらなかなか決断できない顧客には、思い切りプレッシャーを与える必要がありますが、それ以前の接点形成には、プレッシャーは逆効果です。
  そのため、“志トーク”つまり“接点形成トーク”を身に付けるには、従来の“成果主義的発想”を十分にチェックしながら、練習を重ねる必要があるわけです。その練習も、スポーツのようにルールのある単純競技ではないため、それなりの手順が必要になるのです。
  申し上げるまでもなく、すでに自然に“志トーク”を身につけておられる方も少なくはないでしょう。しかし、そんな皆様には特に、自らの“志”と“営業”の使い分けを、もっともっと“意識”され、他者に“教える”レベルに達していただきたいと思うのです。
  一部の不心得者が“節税=お得”トークで、経営者市場を荒らしてしまったように、大事な保険市場を“無知ゆえに荒らしてしまう”営業者を減らすためです。
       
   
    【05】 練習で“志トーク”は創り出せる!
   
        そして、その“志トーク”の作り込みや練習のためには、まず“非常に大きな志の話”、つまりたとえば“自分はなぜ保険を販売しているか”という総論的な“志”を明確にしてイメージし直すことから始めるのが効果的なのです。
  皆様はなぜ保険営業に取り組んでいるのでしょうか。そして、その保険営業を通じて、どんな“重要な話”を、顧客に伝えようとしているのでしょうか。もし『ああ、そんなことは考えたことがない。保険営業も収入のために取り組んでいるだけで、別に目的はない』と感じられたとしたら、その思いが生のまま、顧客に伝わっていると考えなければなりません。腹(本音)は、頭(理性)に抑えられない限り、外に出るのです。言葉に出なくても、表情やしぐさに出ます。
       
   
    【06】 強い志を引き出す“小さな自問”
   
        そこで、こう考えてみるのです。それは、『確かに、保険営業は生活のために取り組んでいるだけで、別に深い意味を考えたことはない。しかし、それ以上の感覚で保険営業に取り組むとしたら、自分はそこで何を期待するだろうか。そして、もし、保険営業を通じて、様々な人にメッセージを発信できるとしたら、それはどんなメッセージだろうか』という自問です。できるかどうかではなく、“実際に取り組むならどうするか”を自問するわけです。
  この自問は、真剣に取り組めば取り組むほど、眠っている“志”を、意識の世界に引き出す効果があります。腹(本音)が、“志”を理解し始めるのです。そうなれば、頭(理性)でいちいちコントロールしようとしなくても、“志トーク”が口をついて出るようになるでしょう。
  ただ、そこにどんな意味があるのでしょうか。
       
   
    【07】 一段上からアプローチ?
   
        腹(本音)が“志”的になれば、セミナーや講演の講師になることさえもが容易になります。それは、営業トークと講演トークの違いが自然に分かり、“伝えたいこと”でストーリーを組み立てることが講演だと自然に理解するようになるからです。それはもちろん、提案書やDMなどのツール作成に限らず、“普段のトーク”が、一味変わることを意味します。
  その変化は、近しい人や昔の友人にまで、堂々と“保険にまつわる話ができる”ようになった自分を発見することで“自覚”できるはずなのです。あるいは、自分の話に“感心しながら聞き入っている見込み客”を見た時に発見することかも知れません。
  いずれにしても、その“営業”スタイルには、風格さえ感じられます。ガツガツした時代の“売り込み者”ではなく、 豊かな時代に求めらる“メッセンジャー”になっているということです。
       
   
    【08】 腹を割って“メッセージ源”を見つけ出す時
   
        そんな“志トークの実例”作りへの実践的な取り組みを、2011年に始めようと考えています。“気付き情報発信”と“志トーク”の両輪がそろえば、接点形成ばかりではなく、顧客の動機付け(市場創造)に至る“流れ”までもが見えてくるからです。
  ただし、“志トーク”のメッセージは“借り物”ではなく、あるいは“見え透いた”ものでもなく、本物でなければ“接点”形成にはつながりません。腹(本音)が納得したものでなければならないわけです。そのため、特に会員の皆様と“腹を割った話”をさせていただきながら、その中に、眠っているメッセージ源を筆者が呼び覚ますところから始めようかと、今、考えているところなのです…。
       
       
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