保険営業者のためのマーケティング&コンサルティング、ヒント集
 
 
 
 
 
 
 
 
 

保険営業者のための小さなヒント集

株式会社エフ・ビー・サイブ研究所
             
vol.12:活動の基礎:顧客を呼び込むストーリーを話法に組み込む基本視点
             

 保険提案が、なかなか難しい昨今、顧客のハートに響く“ストーリー話法”が注目され始めました。では、“ストーリー話法”とは何なのでしょうか。物語のように話をすることでしょうか。いいえ、ポイントは、聞き手が“自分を主人公”にして、イメージをふくらますことができる話です。そして、少し“話の視点”をずらすだけで、そんな“話法”が実現するのです。
  “桜見物(花見)”の誘いを例にして、保険営業の実践話法に入って行きましょう。

             
   
    【01】 その話を聞いて“気持ち”が動くだろうか?
   
        たとえば2人の知人が、“桜見物(花見)”の話をしてくれたとします。そのうちAさんは、桜の花の見事さや桜公園の広さ、あるいは近くの店の料理のおいしさばかり話します。その話は、とても生き生きと楽しそうで、はじめは興味をもって聞けました。聞いているのはYさんです。
  ところが、だんだんYさんは、『なんだ、この人(Aさん)、結局自慢ししたいだけか…』とか『そんなこと一方的に言われても…』などと、気持ちが引いて行くのです。話がだんだん重くなる感じです。そして、それは、一方的に“保険メリット”をアピールされた時の顧客の気持ちに似ているのです。
       
   
    【02】 “ストーリー型話法”なら人の気持ちを動かせる!
   
        一方、Bさんは、桜の話はしてくれたものの、名所へ行くまでの交通経路の話や見ごろの時間、あるいは現地で買えるものや買えないものの話をしてくれました。聞いていると、Yさんもふと“行ってみたく”なりました。Yさんの“気持ちが動いた”わけです。
  そして、まさに、これこそが“ストーリー型話法”なのです。 どこがどう違うのでしょう。保険の話題に進む前に、もう少し“桜”の話をいたします。
       
   
    【03】 何がどう違うのか?
   
        Aさんは、桜の美しさを語りました。しかし、それは“見ないと分からない”ことです。主観の問題でもあるでしょう。そして、そんな話ばかりが強調されると、だんだん嫌けがさしてきます。『そんなの見ないと分からない』と感じるか、そうでなければ『はいはい、よかったね』と、まさに他人事にしかならないからです。
  しかし、Bさんの話には、聞き手のYさん自身を“主役”にできる部分が多いのです。なぜなら、電車に乗る自分も、バスに乗る自分も、そして早起きする自分も、“自分勝手な想像が容易”だからです。Yさんは、Bさんの話を聞きながら、そこに“自分の姿”を投影している、つまり“自分を主人公”にしながら聞いていると言えるのです。 
       
   
    【04】 保険の話に応用するなら…
   
        Aさんが、桜をどのように感じたかをいくら話しても、聞き手のYさんは、“自分を主人公にして、その話を受けとめる”のが難しいため、『ああ、私も去年の夏にはあじさい園に行ったわよ』などと話題を変えたくなります。私たちは、“自分を主人公にして流れ得る話”でなければ、なかなかパワフルに語れず、結果として話題への興味を失ってしまうからです。
  そのため『最近個人契約でも終身保険や超長期の保険にする人が増えました。それは、若いうちに死亡保障があるだけではなく、老後に解約をして返戻金を受け取ることができるからです。つまり、家族も自分もどちらも守れる優秀な保険だからです…』などと言っても、聞き手はなかなか身を乗り出して来ないのでしょう。 
       
   
    【05】 聞き手が自分を主人公にできる話
   
        それを、Bさんスタイルに変えてみます。すると『あなた、ご両親ご健在ですよね』などという話から始めたくなるのです。家族の保障という言葉は、すでに子供が大きい壮年層には響きません。
  しかし、『私の知人で、今年50歳になる人は、お母様が78歳で、まだまだお元気なのだそうです』などという話から始めると、『ああ、うちも80歳だけど、まだまだ元気だよ』と、話題が膨らむ可能性が生まれます。聞き手が、自分の状況に話を置き替えられるからです。
  そして『ところがね、息子さんが25歳で、今、なかなか仕事が大変なんだそうです。会社のリストラが進んでいて…。それで、その知人は考えたそうです。もし、今、自分が死んだら、高齢の母親の生活支援は、この子が引き継ぐことになるのかって…。つまり、母親へのまとまった支援資金を残さないと、いずれ息子に大きな負担が行くと考えたようです』と、話が続きます。
       
   
    【06】もし話に共感してくれたら…
   
        自分の状況に置き変えられない人の気持ちは呼び込めませんが、共感する人はいるでしょう。そして、共感を得たところで『でも、私は、“今さら(お母様への)死亡保障だけを考える歳でもないでしょう”と言ったんです。だって、その知人自身も、昔のように退職金を十分期待できるわけではないから、自分の老後に備えなければいけないからです。 それで、死亡保障と老後保障の両方に使える保険を教えてあげました』などとすれば、少し様子が変わるはずです。
  素晴らしい保険、あるいはメリットがある保険を“買う”となると、なかなかすぐにはイメージがわきませんが、母親の晩年保障と、子供の将来の負担軽減なら、今度は“検討を避ける”ためには理由が必要になる話だからです。
       
   
    【07】 保険の必要性を感じる人が減ったのは…
   
        桜の花の美しさを語るように、保険メリットを語っても、顧客はなかなか動きません。自分が検討を始める主人公になれないために、動けないのです。特に、かつては“節税というメリット”だけで保険を導入していた法人経営者には、最近では“保険の話を聞く必要性も感じられない”のではないでしょうか。
  『知人の経営者がね…』という新しいストーリーが必要なのです。そんな“ストーリー”に関し、新日本保険新聞(生保版)の第4週第3面全面に“顧客をぐっと引き寄せる“話”として、12回シリーズの記事を寄稿しました。
       
   
    【08】 “ストーリー型話法”の実践事例を公開!
   
        そのシリーズが、2010年に新シリーズに変わるのを機会に、“引き寄せる話”のエッセンスを、実際の“提案ストーリー事例”あるいは、“トーク事例”として、まとめることと致しました。考え方の公開だけではなく、実例があった方が、趣旨がよりよく伝わると考えたからです。
    ⇒【CD講座】保険の提案機会を創り出す7つのトーク事例
  法人向けの“節税”に限らず、従来の“保険トーク”が、様々な形で色あせてしまう中で、発想を変えて、Bさんのように“聞き手を主人公”にできる話し方をする、それは、小さな変化のように見えて、案外“大きな方向転換”に向かう道筋なのかも知れません。
       
       
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